スクラッチシールド
スクラッチシールドとは、特殊高弾性樹脂を配合し柔軟性を向上させ、樹脂の結合密度を高くすることで強靱性を高めた新開発のクリヤー塗装のことです。 クリヤーに柔軟性を持たせることで、一般のクリヤー塗装表面に比べて細かい擦りキズ等を1/5程度に低減でき、さらに軽度のキズが生じた場合でも、時間の経過とともにキズが生じる前の状態までほぼ復元するといった特性を持っています。
日常での使用で生じる細かい擦りキズによる塗装表面の劣化を防ぎ、新車時の塗装品質を長期間維持することができるといった事から、日産の新型車種(フーガ、スカイライン、スカイラインクーペ 、スカイラインクロスオーバー、フェアレディZ、ティアナ、ムラーノ、エクストレイル、セレナ) に近年多く採用され始めています。
損傷状況:
フロントガラス、ルーフに飛石傷が付いてしまっています。ちなみに黄色いテープが貼ってある箇所が今回の損傷部分です。フロントガラスは新品部品に交換し、ルーフは傷修理と塗装にて対応させて頂く事になりました。
修理内容:
ルーフにできた飛び石損傷部の塗膜との段差が無くなり、歪みが残らないよう、ペーパーを使用し平滑に研いでいきます。研ぎ方次第では歪みができたり、へこんでしまったりする場合もある為、慎重に作業していく必要があります。その後、サフェーサーを塗装し、十分な加熱乾燥を行っていきます。
サフェーサー硬化後は、さらに水研ぎ作業にて平滑に研いだのち、損傷個所以外の塗装面も塗料の密着性を高める目的で、細部にわたり足付け作業と呼ばれる研磨を行っていきます。その後車両を塗装ブース内に入れ、専用養生紙にてマスキング作業を行っていきます。
空気中のチリやホコリが遮断されたベストな環境下で塗装作業をおこなっていきます。濃色系のルーフは特に塗装肌や塗装中の異物が目立ち、さらにスクラッチシールド専用クリヤーは通常のクリヤーに比べ、塗装後に行う磨き作業にかなりの時間を要する為、磨き作業を行わなくて済むよう、塗装の段階で塗り肌を現車同様に合わせ、ゴミを付着させない細心の注意と高度な技術が要求されます。
スクラッチシールドの補修には、メーカーが専用に販売しているこのASAPクリヤーとASAP硬化剤(AntiScratch Advanced Paint)、専用シンナーを使用します。このASAPクリヤー3.6kgとASAP硬化剤0.9㎏の2つの組み合わせで10万円近くもするとても高価な塗料です。
フロントガラスサイドモールやワイパーアーム、カウルトップパネルを取り外したのち、専用接着剤で取り付けられているフロントガラスを車両から取り外していきます。
専用台に置かれた写真下側が新品フロントガラス、写真上側が車両から取り外し損傷したフロントガラスです。
修理結果:
今回のエルグランドのオーナー様は、幸いにも車両保険に加入していた為、再施工したガラス系のボディコーティング代も含めて、すべて等級据え置き扱いの案件として、保険で修理する事ができました。
お車納車時には修理箇所を入念に確認して頂き、仕上がりに大変御満足頂く事ができました。この度は数ある板金塗装工場の中から当社に修理の御用命を頂きまして誠にありがとうございました。